2012年03月23日

「ねじまき少女 下」パオロ・バチガルピ著

エコSF?

あらすじ

バンコクでは、環境省の白シャツ隊隊長ジェイディーの失脚後、
一触即発の状態にあった。
カロリー企業への王国最後の砦“種子バンク”を管理する環境省と
カロリー企業との協調路線をとる通産省の利害は対立していた。
そして、新人類の都へと旅立つことを夢見るエミコが、
その想いのあまり取った行動により、
首都は未曾有の危機に陥っていく。

感想

上巻よりも各陣営の接触が濃密になり、バンコクを舞台にした
私利私欲のパワーゲームが繰り広げられます。

上巻の頭で不思議な果実、ンガウについてページを割いていたから
ンガウの根源に迫る話だとか、ンガウによる遺伝子テロが起きるとか、
そういう話を想像してたけど、そっちに話はいきませんでしたね。
ちょっと残念。

感じとしては、SFを読んでるというより
やくざの抗争ものを読んでる気がしないでもない仕上がり。
そういう意味では普段SFを読まない人でも読みやすいかも。

この物語は、従属を強いられているエミコと、
エゴむき出しで動く他のキャラクター、
という対立で物語をくくることができるかもしれませんが
読んでて思うのは、どのキャラクターも
結局は、自分の所属する企業だとか、自分が築いた地位だとかに
縛られた「ねじまき」の一種なんだという当たり前の事実でした。

だからこそ、混沌としたラストで描かれるエミコの成長が
やけに強烈に映えて見えたんでしょうね。

読んでからの一言
従属というキーワードだから日本人がモデルなのかな?

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2012年03月21日

「A Different Kind Of Truth」VAN HALEN

14年、28年待った人もいる。

98年『Van Halen III』以来14年ぶり、
デヴィッド・リー・ロスが参加したものとしては
『1984』以来実に28年ぶりの新作スタジオアルバム、だそうです。

14年とか、28年とか、その歳月を考えるだけで何だかすごいです。
アメリカンサイズに待たせても、
平気で熱狂してくれるファンがいるなんて。

この新作もやっぱり聴いてたら無条件に嬉し楽し状態になれますね。

なんでだろうって考えると、その理由はたぶん
凄すぎるからってところに落ち着きます。

人間、あまりにも凄すぎるものを体験をすると
唖然とするより、笑い出したくなるときがあるじゃないですか。

そして、人間楽しいから笑うんじゃなくて
笑うから楽しくなるんだ、ってことでしょう。

つまるところ、彼らの音楽は笑けるくらいに凄すぎて、
笑っちゃうから楽しくなれる。

14年、あるいは28年前の時を突き抜ける
ロックの魔法の結晶がここにあります。

お気に入りの楽曲

1曲目:Tattoo
最初に聞いた時はやぼったい曲だな、
やっぱり彼らもおじいちゃんになったのかな、と思いましたが
聴いているうちにそのポップさに引っ張られて一緒に
タットゥタットゥ、と歌ってました。
落ち着いて聴いてみると、ブっといギターのイントロは
まぎれもなくVANマーク入り。アルバムの中で一番異色な作品かも。

4曲目:China Town
変態的にのたうちまわるギターのイントロが印象的な楽曲。
何度聞いてもなんだよこれってなる。

11曲目:Stay Frosty
アコギで奏でられる軽やかなれどややブルースっぽい
フレーズで幕が上がる一曲。
このフレーズに途中からエレキギターと
叩き壊すようなドラムの音が加わって、その落差が気持ちいい。
最後は、ライブ調にシンバルの音が輝いて、華やかに。

聴いてからの一言
早く日本に来てくんないかな。


タグ:VAN HALEN
posted by motoka at 22:40| Comment(0) | TrackBack(0) | CD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月17日

「ねじまき少女」パオロ・バチガルピ著

夏に読まなくて良かった。

あらすじ

石油が枯渇し、エネルギー構造が激変した近未来のタイ、バンコク。
遺伝子組替動物を使役させエネルギーを取り出す工場を
経営するアンダースン・レイクは、ある日、
市場で奇妙な外見と芳醇な味を持つ果物ンガウを手にする。
ンガウの調査を始めたアンダースンは、
ある夜、クラブで踊る少女型アンドロイドのエミコに出会う。

感想

ページをめくると、タイのうだるような、そして、決して清潔でない
空気感がむんむんで、今が春であることに感謝したくなりました。

この本の中では、世界中で、疫病が蔓延し、作物が十分に育たず
食物と言えば欧米資本のバイオ企業が作り出す
遺伝子組み換えの作物が主であり、
石油が枯渇してるから、ゼンマイを巻いてエネルギーを生み出すが
その動力としてメゴンドという遺伝子操作の動物を使い、
この動物への食物も当然バイオ企業が握っています。

簡素に言うと、バイオ企業が食物を介して
世界を牛耳ってるというのがこの本の世界観です。

そんな中、なんとか疫病と戦い欧米の囲い込みから逃れてるタイ、
そこを舞台に、各登場人物が己の目的のために
あれやこれや行動し、その動きが他の人物にも波紋を呼び、
やがてその波紋は、という形で話が進みます。

ひと癖ふた癖ある人物ばかり登場しますが、
その中でも一等魅力的なのは、従属を先天的に、あるいは後天的に
仕込まれたねじまき少女のエミコでしょう。

したたかな目で自分の主人を探しているのに
主人となってくれそうなアンダースンのことを信じ切れず、
そして同時に人に頼らず生きていくことを夢見ます。

この物語は、そんな彼女の成長物語でもあります。

彼女とアンダースンの出会いがどう世界を変えるのか
それは下巻のお楽しみ、ということで。

読んでからの一言
ンガウだけは食べてみたいかも。

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posted by motoka at 22:44| Comment(0) | TrackBack(0) | SF小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする